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源流なび Sorafull

古代海人族たちを結ぶ糸(2)海部と出雲と宗像の切れない関係  


 

 

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さて、宗像氏と海部氏の関係はどうなっているのでしょう。

 

海部氏の勘注系図によると火明命は、

①大己貴(オオナムチ)と多岐津姫の娘、天道日女(別名高光日女)をめとって天香語山命(アマノカゴヤマ)が生まれる。

②市杵嶋姫(イチキシマ)をめとって穂屋姫が生まれる。(天香語山が穂屋姫をめとり天村雲命が生まれる)

③大和の登美屋姫をめとって可美真手命(ウマシマデ)が生まれる。

とあります。ウマシマデは物部の始祖と言われます。前回の安曇氏との系図比べにでてきた息子のホホデミはウマシマデと同一人物と考えられます。注)2018/11/04改訂、ウマシマデはホホデミの後裔を表していると考えられます。

多岐津姫、市杵嶋姫は宗像氏の姫君たちです。大己貴は出雲王の大国主です。

繰り返しますが、火明命はニギハヤヒと同一人物です。

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次に、古代出雲王家の子孫らによる伝承では、宗像氏は出雲6代主王の息子、吾田片隅(アタカタス)を祖とし、その娘達が宗像三女神とよばれる田心(タゴリ)姫、市杵島姫、多岐津姫であるとしています。そして田心姫と出雲7代主王との娘、高照(タカテル)姫と市杵島姫は火明命の妻となり、多岐津姫と出雲8代主王との孫の大屋姫が香語山命の妻となっています。注)出雲伝承には高照姫を多岐津姫の娘とする場合もあります。

勘注系図と微妙にずれはあるのですが、婚姻関係で結ばれています。しかもここに出雲王家の血筋もガツンと入ってきましたね。

【2019.5.18 訂正】富士林雅樹著「出雲王国とヤマト政権」より新しく系図が提示されましたので、改定致します。高照姫は神門臣家に変更。

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これで、安曇氏、海部氏、津守氏、尾張氏、宗像氏、出雲王家がつながりました。

ここまでを簡単にまとめると、

 

出雲王家⇒分家の宗像氏

      安曇氏と海部氏⇒分家の津守氏、尾張氏

 

そして出雲、宗像、海部は次々と婚姻関係を結び、より強固な絆となっていったようです。今でも海部氏と九州の親族たちは当時と同じように縁を育んでいるそうですよ。

こうして2000年以上も前から続く系図の一端を今眺めているわけですが、この一本一本の糸の重みは底知れないものがあるのでしょう。今に繋がるためには命がけで死守するほかなかった時もあったはずです。いえ、その連続だったかも。ソラフルのような一般人にはなかなか家系の重みを実感する機会はありませんが、この古代史の中で立ち現れてくる一本の糸の凄味は計り知れません。

 

これまで古代日本のイメージは狩猟採集、漁労から農耕系だったのですが、実は航海術をもった海洋民族としての要素がとても強いのですね。以前学校で習ったような原始的な暮らしのイメージが払拭されます。

出雲王家の伝承によると神功皇后三韓併合は、九州日向の水軍に加え、丹波海部の水軍や紀国の水軍の協力による大艦隊での進軍となったそうです。

かの日露戦争における日本海軍の意外すぎる勝利は、そもそも海人族だったから!?

 

さて、再び男神にもどります。

前回、剣神雷神=筒神=海神と導きだしました。 

実は海部家には極秘伝として伝えられてきたことがあります。それは火明命は京都の賀茂神社祭神である別雷命(ワケイカヅチ)と異名同神であるということです。

別雷命は記紀には登場しませんし、雷神と同じとは限りません。が、くくりは同じでしょう。同じくくりで見ていくと、記紀に登場するタケミカヅチの神(建御雷神、武甕槌、武甕雷男神があります。古事記では建布都神(タケフツノカミ)とも記されます。また鹿島神宮では鹿島の神と呼ばれています。(鹿島神は志賀大明神、春日大明神と同神でした。鹿つながり!)

 

日本書紀によると、イザナミは火の神のカグツチの出産で産道を焼かれて死んでしまいます。イザナギが怒ってカグツチを十束剣(長剣のこと)で斬ったとき、剣から滴る血から生まれたのが雷神であり、あるいは経津主神(フツヌシノカミ)の祖であるとしています。別の一書によればさらに磐裂神、根裂神であり、その子が磐筒男神です。

フツといえば物部氏の武器庫でもあった石上神宮で祀られている布都御魂(フツノミタマ)の霊剣ですね。この剣の神格化が経津主神です。タケミカヅチはこの剣をもって出雲へ天降り、大国主と国譲りの交渉をし、葦原中国を平定しました。タケミカヅチとフツノミタマはペアです。

のちの神武東征ではこの剣を神武に与えます。

ということで、剣神=雷神となりました。

 

また海部氏の系図旧事本紀により、ホアカリことニギハヤヒ、そして息子のホホデミことウマシマデは物部の祖であるとされています。フツノミタマは物部の祭神であり、剣神、雷神、筒神、海神は物部と深く関わっているということのようです。

物部氏といっても6世紀頃に蘇我氏の崇仏に対して排仏を唱えた争いが浮かぶくらいで、ほとんど印象に残らない存在でした。ところが天孫降臨からその存在が明らかに認められるのです。そうであるなら、なぜ隠れてしまったのでしょう。また謎が増えました。

 

さてさて、海人族の家系としてのつながりは見えてきましたが、結局のところ安曇磯良は誰なのか、そして豊玉彦、火明命、タケイタテとは?

あ、またイソタケラ(磯武良)とイソタケ(五十猛)、タケイタテ、同じような音が続きますね・・・・

スサノオの息子五十猛はイソタケ、イタケル、イソタケル、イタテとも言います。タケとは尊称なのでタケイタテはイタテですね‥‥。あ、イタテがつながった!

 

タケイタテはスサノオの息子、五十猛だった!?